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世界の真実を知ってしまった魔法使いの話
「あたしはあなたなんか怖くないわ」
女の子がブルネットのかみをふわりとゆらして顔をあげて立ち上がりました。ぜつぼうの女王の前に女の子の仲間はみんなたおれ、女の子もぼろぼろです。けれども女の子は立ち上がりました。それはこの世界の人間でない自分を助けてくれたお友だちの為でもあり、ぜつぼうの女王に狙われた自分を守ってくれた騎士の為でもあり、ぜつぼうの女王と戦うと勇気をだしたこの世界の人たちの為でもあり、こころの国のせいでおかしくなっているという自分の世界の為でもあり、でもなによりもぜつぼうに負けたくない自分の心が女の子を立ち上がらせてくれました。
「大人しくひざをつきなさい」
ぜつぼうの女王は女の子が立ち上がっても気にせず言いました。
「みなあきらめました。ぜつぼうの前に、生きるのをあきらめました。ぜつぼうにはひれ伏すものです」「あなたもあきらめて倒れなさい。私が生きているかぎり、楽しくなんて生きられないとなげきなさい」
「いいえ」
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