5人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「なぁ、光。ちょっと思ったんだけど初詣の逆ってなんて言うんだろ」
息を吸ったタイミングで会話を被せられた。
クレームをつけるわけにもいかず間抜けに開いた口の形で答えを返す。
「…しゅうもうで?終に詣でるって字で」
「んー、しっくり来ない」
聞いておいて全否定するのは幼馴染の高梨冬馬。
厚手のダウンジャケットを着た上で寒い寒いとぼやいている。
私達は12月31日、大晦日。つまり一年最後の日を二人で過ごしている。
と言っても、恋人同士ではない。
友達、とも違う気がする。友達以上恋人未満なんて言葉があるけれど、彼は友達以上家族未満と言ったところか。
その付き合いは両の手の指でも収まらない。
その横顔をずっと見てきた。
側にいるのが当たり前、隣にいるのがデフォルトだった。
最初のコメントを投稿しよう!