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☆案内屋☆
◆◇◇◆
……なんか体がフワフワする。
それで、ああ此処は夢の中なんだな、と気づく。
夢だとわかっている夢を見る。夢の中でも意識がある状態。こういうのを明晰夢って言うんだっけ?
「── おや、迷い人だ」
急に背後から声がして、驚き、瞬時に振り返る。
背後の暗闇の中から、ぼんやりと明かりを放つランプを持って、誰かがが歩み寄ってきた。
金色のショートヘアが明かりに照らされて輝く。
全くの他人。夢の中には、その日すれ違った人でも現れてくるらしいが、こんな目立つ子、すれ違っただけで絶対に記憶に残る。
口調と格好が男っぽくて、その上薄暗い場所だ。
近くで見るまで男の子かと思っていた。
「あなたは?」
開口一番がこれだ。意外と思考は冷静だったのだ。
夢のせいにするとしよう。
そうしたら、彼女は私の問いにニッカリと笑いながら言った。
「── 僕は案内屋。 此処への迷い人を案内するヒトだよ!」
「……はい?」
何言ってるの、この人。
ちょっと関わりたくないタイプの人だ。
「でも、僕は依頼は無理なんだよ。この先にいる人達に依頼してね☆」
いや、そんな元気にウィンクされても全く伝わらないんだけど。話、全く通じてないし……。
でも、明晰夢というのもなかなか楽しい。
まあ夢だし、覚めるまで楽しんでみようかな。
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