誤解後…

2/4
前へ
/39ページ
次へ
「でもボクが連絡しなかったせいで、ヒミカに迷惑をかけていたことは謝ります。すみません」 「良いのよ。アタシも勘違いしてたし。お互い様ってことで」  でも婚約者にさせられたんだから、アタシの方が大きなマイナスなような…。 「ふふっ。まさにケガの功名ですね」  そう言ってアタシの隣に移動してきて、ぎゅっと抱き締めてくる。 「結果オーライってことで」 「その前に」  ぐいっとキシの体を押した。 「事件の真相を突き止めないと…。マカに睨まれっぱなしなのは、いただけないわ」 「あっ、そうでしたね」  キシは少し考えた。 「ボク、あなたと料理に夢中で全然事件のこと知らないんですよ。教えてくれますか?」  …あんなに世間が騒いでいるのに。  アタシはマカから預かった新聞紙や雑誌をテーブルに広げて見せた。  そして事件をかいつまんで説明した。  正直、キシには少し期待していた。  ストーカーということを抜けば、キシは優秀な人間だから。 「…う~ん。まあちょっと不思議ですねぇ」 「どこが?」 「食事に手が付けられていないこと。だからヒミカはボクを疑ったんでしょう?」
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加