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「でもボクが連絡しなかったせいで、ヒミカに迷惑をかけていたことは謝ります。すみません」
「良いのよ。アタシも勘違いしてたし。お互い様ってことで」
でも婚約者にさせられたんだから、アタシの方が大きなマイナスなような…。
「ふふっ。まさにケガの功名ですね」
そう言ってアタシの隣に移動してきて、ぎゅっと抱き締めてくる。
「結果オーライってことで」
「その前に」
ぐいっとキシの体を押した。
「事件の真相を突き止めないと…。マカに睨まれっぱなしなのは、いただけないわ」
「あっ、そうでしたね」
キシは少し考えた。
「ボク、あなたと料理に夢中で全然事件のこと知らないんですよ。教えてくれますか?」
…あんなに世間が騒いでいるのに。
アタシはマカから預かった新聞紙や雑誌をテーブルに広げて見せた。
そして事件をかいつまんで説明した。
正直、キシには少し期待していた。
ストーカーということを抜けば、キシは優秀な人間だから。
「…う~ん。まあちょっと不思議ですねぇ」
「どこが?」
「食事に手が付けられていないこと。だからヒミカはボクを疑ったんでしょう?」
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