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店を出て、細い路地を歩いて、表の世に出た。
外はすっかり夜だな。
さて、マカにはああ言ったが、とりあえずは夕食を食べたい。
焼肉でも行くかな。
近くに学生食べ放題の店があったハズ。
学生証は持ってきたと思ったけど…。
カバンの中をゴソゴソといじっていると、電器屋の前を通った。
ちょうど夕方のニュースを流している。
その内容を耳にして、アタシは立ち止まった。
…マカとさっきまで話していた事件のことをやっている。
今日、新たな犠牲者が出た、と。
「ふぅ…。…急いだ方が良いかな?」
それでもカバンから学生証を見つけると、足は焼肉屋に向かう。
栄養補給。
我が血族には、無くてはならない。
人成らざる力を使うモノだから。
例え摂取するものが普通の人間と違ったとしても、今は補給しなければ戦えない。
学生証を見て、アタシは苦笑した。
ヒミカ。アタシの名前だ。
専門学校1年生。十八歳。
本来ならば十代最後の青春を謳歌するはずだが、この身に流れる血に縛られ続けている。
「まっ、イヤではないけどね」
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