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四人に増えた俺たちは、焦りや恐怖を掻き消す為に笑い話ばかり話した。俺も同じだ、どうすればみんなが笑うだろうか、時には自分を犠牲にして笑われるような事もした。
話が尽きるほど歩いた後、全員から恐怖心は無くなったように思えた。
無言になった瞬間、突然立ち止まった佐伯さんが口を開く。
「あの、利蔵さんは何故ここにいるのか分かりますか?」
「はい......」
深く頷く利蔵さんを見て、俺は目を丸くした。
「マジですか! 出口、出口はどこなんですか!?」
喜びながら他の二人を見ると、さもそれが普通かのように驚いてはいなかった。
「え?」
状況が全く理解できない。それよりも俺以外の全員が口裏を合わせて俺を出し抜いていたことに腹が立つ。
「なんだよ、知らなかったのは俺だけだったのかよ!」
「あーっ!」
季蘭ちゃんが俺の声を遮るように、何かを指差している。
「なんだよ!」
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