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俺もゆっくりと足を入れてみたが、足払いを受けたように体制を崩され、しりもちをついた。
「な、なんでこんな激流に立っていられるんだよ」
「激流?」吹き出しそうな三人は膝のあたりまで水に浸かり「どこが?」と、笑っていた。
「おい、まさかあんた、この川が激流に見えるのか?」
「激流でしょ、何で入ってられるんですか!」
声を上げて笑う三人、バカにされているようで腹が立つが、どうにもできない。
「じゃあ、お前さんはそこに残れ」
「は? ここまで一緒に来てなんで?」
「先に行ってるね、誠吾君」
「え? 佐伯さんも、何で」
「バイバイ、お兄ちゃん」
「季蘭ちゃん」
三人はそのまま俺に背を向け、激流の中、歩いていった――――
「待てって!」
何度も足を入れるが、物凄い力で立っていられない、なぜ俺だけ行くことができないのか、ここまで来て......拳を地面に打ち付ける。
「せ......いご、誠吾......」
深鈴の声だ、なぜ突然深鈴の声が聞こえるんだ? あたりを見回すが人影はない、もう一度三人を見ると、既に向こう岸にたどり着こうとしていた。
三人は渡りきると振り返り俺を見る。突然、激流の中に驚愕の映像が映し出された。
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