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三年になると佐奈はキャプテンを務め、私は副キャプテンになった。佐奈と出会って私は自分を磨くことを覚えた。私は物差しから卒業できた。
佐奈は勉強の面でも輝いていた。私はそっちの方ではどうしても彼女と肩を並べることはできなかった。それに対して『佐奈の隣に立つ資格が無い』という歯がゆい気持ちになる事もあった。でも同時に、手の届かない存在であればあるほど佐奈の輝きは一層眩しくなり、私の胸を焦がしていった。
別々の高校になるのは仕方ないと、三年になる頃には薄々覚悟していた。でも部活の引退試合を終えた帰り道、熱い色の夕陽を浴びた佐奈の後姿を見て、無性に離れたくない気持ちが湧きあがった。別の高校へ行き、私の知らない誰か別の友達と楽しそうに話をする佐奈の姿が目に浮かんだ。そんなの絶対に嫌だった。
勉強を教えてほしい。そう佐奈にお願いした。その頃にはもう、私は自分の個性について考えることを止めていた。周りと自分を比較するのを止め、彼女だけを見つめるようになっていた。彼女と少しでも長い時間一緒に居たい。その想いが私を突き動かしていた。彼女は私を見放さないでいてくれた。佐奈と同じ高校の制服に袖を通せていることは、私と彼女のかけがえのない絆だ。
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