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奏
私は獣。愛に飢えた獣。Beast Love Triangle。BLT。
佐奈という子を消したい。彼女はさも自分の所有物であるかのように、香菜ちゃんの口元についたソースを紙ナプキンで拭った。何を考えているのこの子?思わず隣に座っている佐奈を横目で睨んでしまった。彼女にあるのは、レタスみたいにちょっと力を加えるだけでパキッと折れる安っぽい独占欲だけ。そんなもので香菜ちゃんを縛り付けないでほしい。保護者面して軽々しく香菜ちゃんに触るな。
佐奈の首元を見た。私は人より八重歯がちょっと鋭い。噛みつけば、BLTサンドを食べる時より弱い力で、息の根を止めることができるはずだ。私は妄想の中で隣に座る邪魔者の首をトマトソース色に染め上げた。
佐奈が私に軽く肩をぶつけて密着してきた。そしてぐっと押し付けてくる。向こうへ行けということか。それは私のセリフだ。私も負けじと押し返した。ちょうど私と佐奈は壁に沿ってひと続きになっているソファに座っている。一番端まで行ってしまえ、そこで一人でポツンと食べるのがお似合いだ。そう思いながら、私と香菜ちゃんの間に入ってくる異物の肩をさらに押しこくった。
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