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窓際の少女
しんしんと雪が降り積もる。所狭しと並ぶ木々にずっしりと覆いかぶさっている。時折ぼたぼたと落ちるのもまた、趣があって良い。
小高い土地にある屋敷を目指して、緩やかな坂道を登る。
新築の家ばかりが建ち並ぶこの町で育った私は、あの古めかしい屋敷を訪れることが、幼い頃からの夢であった。
開発地であるのにも関わらず、屋敷周辺の土地は今でも買い取られることはないのだそう。
人が住んでいないと聞いたことがあったが、それは単なる噂でしかないと私は思うのだ。
私は、きっとあそこには人知れず静かに暮らす病的な美しい少女がいると信じている。
それはまるで物語のヒロインのように美しくて儚い存在。
そんな少女がいるのであれば、私はぜひ一目会いたいと思う。
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