転、もしくは天

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転、もしくは天

「ちょっと!」  電話がつながるなり、大声が受話口から響く。 「待って。とりあえず待って」 「待ちくたびれたからこれだけ大声になるの!!」 「だって……、それは仕方ないだろ。猛吹雪になって電車止まっちゃってんだもん」 「電車がないのならタクシーを使えばいいじゃない!」 「……無茶言うな」  ここから都心に行くまでにどれだけの運賃を取られるのだろうか。僕の財布の紐は伸縮性抜群の新素材ではない。 「だったら、そっちからタクシーで来るか?」 「……ごめん」 「いや、謝らなくてもいいんだけどさ」  気が立つのも十分わかるんだ。
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