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まぁちゃんのマイペースなのはいつものことだ。
私も、ぐっとミルクティーを飲む。
半分くらいまで、なくなった。
「なーんかミルクティー飲んだらポカポカしてきた。」
「よく熱いのすぐ飲めるね。」
「りぃちゃんは相変わらず猫舌だね。もう冷めてるでしょ?」
「いや、全然。まだ熱いよ。やっとあったかいくらい。」
まぁちゃんは、ごちそうさま、と言って、ソファを立って、流しへ向かう。
自分が使った食器はすぐ自分で片付ける、が我が家のきまりだ。
他にも色々ある。
ストーブついてる部屋の扉は必ず閉める、とか。
椅子をだしっぱなしにしない、とか。
別に文章になってるわけじゃない。
でも、長年一緒に暮らしてれば、そんな暗黙の了解が沢山うまれるものだ。
きっと、どこの家もそうだろう。
うん。長いこと暮らした。
だって、この家で、18年間暮らした。
大人から見れば、そんなに多くなかったとしても。
私から見たら、生まれてからずっとだ。
初めて立った日なんて、もう覚えてないけど。
誕生日。
初めて保育園に行った日。
まぁちゃんが生まれた日。
お遊戯会の日。
卒園式の日。
入学式の日。
友達と遊びに行く日。
最後の夏休みの日。
卒業の日。
お祭りの日。
習い事の発表会の日。
初めて怒られて帰ってきた日。
初めて褒められて帰ってきた日。
100点を取った日。
赤点だった日。
部活引退の日。
受験勉強で挫けそうになった日。
模試の結果がよかった日。
第一志望への受験の日。
合格発表の日。
そして、この家を出る前の、最後の日。
私の18年間の、ほとんどの日を、ここで迎えた。
嬉しいことがあっても、楽しいことがあっても。
苦しいことがあっても、嫌なことがあっても、泣いてしまうことがあっても。
ここに帰ってくればいつだって、父さんと母さんがいて。妹がいて。おいしいごはんがあって。あったかいお風呂があって。ふかふかのお布団があって。
私が泣いてることを知ったら、甘いものをいっぱい用意してくれた。
怒ってる時は一人にさせてくれたけど、みんな心配してるのわかってた。
楽しいことは、いつも父さんと母さんが計画してくれた。
嬉しいことがあった日は、1から10まで全部話を聞いてくれた。
私の当たり前。
18年間ずっと変わらなかったこと。
でも、きっとこういうのを、
「ぬくもりって言うのかもね。」
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