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「弘美は…大学の時に出会って…アイツを孤独から救ってやりたいと思ってん。だから、普通の恋愛とは違ったかもしれへん!だから、お互いに依存した部分があってん!」
「…似てるね」
「えっ?」
「状況は違えど、私も慶太に救って貰った…」
離せば話すほど、慶太と弘美ちゃんの関係に重なるところを見つけて、慶太が無意識に誰を求めているか痛感する。
「そんな言い方、すんなや…」
意地悪な言い方かもしれない。
でも、
「慶太は、私の為に弘美ちゃんを捨てられる?」
これが1番明確に答えが出る質問だ。
慶太は、右手で額を押さえて、目をそらした。
「何でそんな質問すんねん…。アイツは、俺を思って身を引いたやつやで?それやのに、捨てるとか…そんな質問しんといてや…」
うん…
確かに酷い質問だ。
「…ごめん」
私がそう言うと、慶太は私を見た。
私は涙を拭って立ち上がる。
「でもね……それが答えだよ…」
慶太は座ったまま私を見上げ、私の手を握る。
「慶太が愛してるのは、私じゃないよ…」
「…ちゃう」
「…違わないよ」
「響……響だって…過去を全部捨てられるか…?」
「…私は、慶太との未来があるなら、捨てられた」
私の言葉に、慶太は脱力したように私の手を離した。
「…響は、結婚したことないからそんなん言えるんちゃう?」
「…そうかもしられない。でも、私はずっと…弘美ちゃんを気にしながら慶太と一緒に居られない。そんなに強くなれない…」
私はそっと慶太から離れた。
「ごめん…」
背を向けて玄関を歩きながら自然と言葉が出た。
そして、慶太の家を出た。
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