第四十三章 恋と愛

4/7
前へ
/618ページ
次へ
「弘美は…大学の時に出会って…アイツを孤独から救ってやりたいと思ってん。だから、普通の恋愛とは違ったかもしれへん!だから、お互いに依存した部分があってん!」 「…似てるね」 「えっ?」 「状況は違えど、私も慶太に救って貰った…」 離せば話すほど、慶太と弘美ちゃんの関係に重なるところを見つけて、慶太が無意識に誰を求めているか痛感する。 「そんな言い方、すんなや…」 意地悪な言い方かもしれない。 でも、 「慶太は、私の為に弘美ちゃんを捨てられる?」 これが1番明確に答えが出る質問だ。 慶太は、右手で額を押さえて、目をそらした。 「何でそんな質問すんねん…。アイツは、俺を思って身を引いたやつやで?それやのに、捨てるとか…そんな質問しんといてや…」 うん… 確かに酷い質問だ。 「…ごめん」 私がそう言うと、慶太は私を見た。 私は涙を拭って立ち上がる。 「でもね……それが答えだよ…」 慶太は座ったまま私を見上げ、私の手を握る。 「慶太が愛してるのは、私じゃないよ…」 「…ちゃう」 「…違わないよ」 「響……響だって…過去を全部捨てられるか…?」 「…私は、慶太との未来があるなら、捨てられた」 私の言葉に、慶太は脱力したように私の手を離した。 「…響は、結婚したことないからそんなん言えるんちゃう?」 「…そうかもしられない。でも、私はずっと…弘美ちゃんを気にしながら慶太と一緒に居られない。そんなに強くなれない…」 私はそっと慶太から離れた。 「ごめん…」 背を向けて玄関を歩きながら自然と言葉が出た。 そして、慶太の家を出た。
/618ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11754人が本棚に入れています
本棚に追加