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好きな人の一番になりたいだけだった。
私の願いは、そんなに難しいことなんだろうか…
「パパぁ!いってらっしゃーい!」
涙を拭いながら歩いていると、前を歩いていた男性が、マンションの方を振り返り笑顔を向けて手を振った。
私はその視線を辿る。
マンションのベランダから幼い子供が、母親に抱かれて手を振っていた。
幸せそうな光景。
この夫婦はお互いを一番に思って結ばれたのだろうか。
それとも、三村のように、誰かを胸に秘めて結ばれたのだろうか。
私は…ワガママなのかもしれない。
30歳にもなって、一番なんて無理な話なのかもしれない。
佳世子や水木先輩のように、お互いを一番に思い合うなんて、そんなことはこの歳になっては無理なことなのかもしれない。
だから、それを求める私は、身の程知らずのワガママなんだ…。
でもね…
やっぱり、一番になりたかったー
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