第四十四章 誤解

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何とか仕事を追えて、クリーニング屋さんに滑り込んでマフラーを受け取った。 綺麗に仕上がったマフラーは、パッケージされて返ってきた。 蛍のマフラー。 マフラーを暫く眺める。 「どうしよう…」 連絡先もわからない。 今住んでる大阪の住所もわからない。 どうやって返却しよう…。 思い浮かぶのは、佳世子しか居なかった。 佳世子に、連絡先を聞くしかないー 自宅に帰って、佳世子に連絡してみた。 返却したいものがあるから、蛍と連絡を取りたいことを伝え、手間だけど、蛍に了承を取って連絡先を教えて欲しいとLINEした。 1分もしないうちに、蛍の電話番号が添付されて返信があった。 絶対に、蛍に聞いていない… 私は、佳世子に電話して、彼に了承を取って欲しいとお願いした。 「なんでわざわざ?」 佳世子はそう返してきた。 「なんでって…」 「前、国分さんに響の居場所や連絡先を教えなかったのは響に頼まれてたから。でも、国分さんには口止めされてないし、ましてや一回聞かれてるんだよ?いいでしょ、電話番号だけだし」 納得出来るような出来ないような説明が返ってきた。 「そんなことより、今月中に生まれるかも!」 「えっ!?本当に?」 「うん!赤ちゃんが大分下がってきてるの。産まれたらすぐ会いに来てくれる?」 「うん、会いに行くね…」 佳世子は嬉しそうに歓声を上げた。
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