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19時半に仕事を終え、退勤しようとしたタイミングでトラブルの知らせを受けた。
帰れなくなった。
私は合間に蛍に電話して、それを伝えた。
彼は移動中の電車の中なのかもしれない。
蛍は電話に出ず、留守電に切り替わる。
「蛍、ごめんなさい。仕事でトラブルが発生して帰れなくなりました。貴重な時間を無駄にしてごめんなさい。また連絡します」
留守電にメッセージを残した。
「葉山」
慶太に呼ばれて仕事に戻る。
開発の全チームで対処しないといけないトラブルで、各チームのチーフクラスから、残っていたチームのメンバーと一緒に手分けして対応した。
結局、騒動が収まったのは、23時前だった。
大事にならずに収まった安堵を、みんな一緒に共感した。
「月曜からこのトラブルはキツイな」
「少しだけ飲みに行くか?」
そんな声が聞こえてきた。
全員で十数名。
みんな参加しそうな雰囲気だったから、私も少しだけ参加することにした。
道中でふと、スマホを見ると、蛍から2回の着信と留守電が入っていた。
不思議に思って、確認する。
『響?仕事かな?ーとりあえず、待ち合わせ場所で待ってるから。連絡ください』
蛍の残したメッセージを聞いて、もしかして、私の留守電聞いていない?と不安になる。
2回の着信。
20時16分と20時38分。
留守電のメッセージは20時38分の物だった。
どうして?と思って発信履歴を確認する。
「…葉山」
呼ばれて振り返ると、慶太だった。
慶太はスマホを持ったまま、コソッと私に声を掛けてきた。
「俺の留守電に、メッセージ残ってんねんけど…」
その言葉にハッとする。
私のスマホの発信履歴にも慶太の名前が1番最新履歴だった。
間違えた…
「間違えたんやろ?」
慶太に聞かれて頷く。
ちょうど、みんなで三宮に到着したタイミング。
「蛍って…アイツか?」
そう問いかけられて、慶太を見上げる。
「結局、連絡取り合って、会ってたんやな」
慶太の言葉は投げやりのように感じた。
「違う…」
「俺と弘美のことは責めんのに、自分はどうやねん」
そう言われて、何をどう説明したらいいのか迷う。
慶太と付き合っている時からだと、彼が誤解しているのはわかったけれど、その誤解を解くことよりも、今は蛍のことが気になった。
「ごめんなさい、抜けるからみんなに伝えてて」
私は慶太にそうお願いして、みんなの輪から抜けて、蛍との待ち合わせ場所へダッシュで向かいながら、蛍に電話をした。
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