第四十四章 誤解

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もしかしたら… もしかして… 罪悪感をいっぱい胸に抱えて、走りながら電話する。 コールが途切れて、通話になる。 「蛍!ごめんなさい!仕事でトラブルが発生してー」 私は通話になった瞬間に言い訳をした。 「蛍に留守電を残したつもりが、別の人に電話してたみたいでー」 失礼極まりない事実を話す。 すると、電話の向こうで、 『なんだ、やっぱり会いたくなくなって、すっぽかされたかなって思った』 蛍の声は穏やかだった。 全然怒ってなくて、寧ろ、笑っていた。 「蛍の留守電聞いて、ビックリして…もしかしてずっと待って?ー」 『大丈夫だよ。気にすんな。小一時間待って帰ったから』 彼はそう言ったけれど、息を上げて到着した待ち合わせ場所の東口改札口の一本の柱の前に、蛍の姿を見つけた。 『響、何でそんなに息上がってんの?』 蛍は笑いながら、問い掛ける。 私は蛍の側まで、歩く。 「どうして?」 『うん?』 「そんな優しい嘘つかなくていいよ…」 私がそう話したタイミングで、彼と目が合う。 2メートルくらいの距離。
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