第四十四章 誤解

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23時半前になっても開いているカフェなんてわからなくて、結局手っ取り早く24時間営業のファストフードのお店でコーヒーとアイスしかなかったお茶を注文した。 ガチャガチャした雰囲気の中、簡単なテーブルと椅子に向い合わせになって座る。 「ココアなかったな…」 私のオーダーした冷たいお茶を見て、大丈夫?と気にしてくれた。 「いいの!大丈夫!気にしないで!蛍が温まってくれたらそれでいいの!」 「そんな必死にならなくても」 蛍がまた笑った。 蛍は頂きますと、コーヒーを手に取った。 「仕事、相変わらず忙しそうだな」 「…ううん。そうでもないよ」 「少し、疲れてるんじゃないか?」 相葉さんにもよくない痩せ方をしていると、指摘された。 やつれているように見えるのだろうか。 苦笑いする私に、蛍はそれ以上聞いてこない。 「…神戸には馴れた?」 そう問い掛けられて、私は頷く。 「東京と違って不便じゃない?」 「ううん。十分。それに、横浜に似てるところがあるから住みやすい」 「そっか!確かにそうかもな」 「久志がたまに来るんだけど、久志の方が私より神戸の夜に詳しいかも」 「久志君?マジか。彼、元気?」 「うん、元気元気。少し前にもこっちに来てくれて…」 「へぇ!」 他愛ない話なのに、話し出すと止まらなくて、上着を着たまま座った私達だったけれど、話していると温まってきて、上着を脱いで腰を据えて話した。 酔いざまし来た人や、まだ若い学生みたいな集団に囲まれていることも気にならないくらいに、蛍との話に夢中になった。 まるで、昔に戻ったみたいだった。
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