第四十五章 運命

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ホームから改札へ駆け降り、そのまま駅を出る。 引っ張られるようにして、彼の行く先について走る。 人が疎らな真夜中の街を小走りで走り抜けた。 着いた場所はアミューズメント施設。 蛍は迷うことなく受付に行く。 私は辺りを見渡しながら、蛍の側についた。 「響、足のサイズは?」 「足?…23センチ」 そう答えて間もなくして、ボーリングシューズを手渡された。 「えっ!?」 有無を言わさずボーリング場のコースに連れて行かれて、ボーリングがはじまる。 「ちょっと、蛍?」 「響、ボーリングの経験は?」 蛍がシューズを履きながら問い掛ける。 「すっごい昔にあるけど…」 「俺も大学の時ぶり」 靴を履き終えた蛍がボーリングの球を持って、コースに投げた。 一本残して、ピンが倒れる。 「惜しい!」 私が声を上げると、蛍は2回目を投げてスペアを取った。 「すごい!」 「響もやってみろよ」 そう言われて、ボールを持って狙いを定めて投げる。 蛍とは違って、スピード感のないボールが、ゴロゴロと転がる。 意外と真っ直ぐ進んだボールは、これもまた意外にもピンを全て倒していきストライク。 「すっげぇ」 蛍の言葉に顔を見合わせて、目が合うと吹き出すように笑った。 「ストライクなのに全然カッコいい感じじゃない」 「いや、結果が全てだろ」 真夜中のボーリングは、お酒を一滴も飲んでいないくせに、二人で白熱して大盛り上がりだった。 その時だけは、何もかも忘れて、楽しんだ。 夢中で楽しんだ。
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