第四十五章 運命

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結局一時間ちょっとで2ゲームを楽しんだ。 記録用紙を貰って、二人でお店を出た。 「蛍に勝てなかった」 「俺にも意地がある」 そう言われてまた二人で顔を見合わせて笑う。 三宮から元町への最終も、とっくになくて、私と蛍は真夜中の街を歩いた。 ボーリングの話をしながら歩いていると、ルミナリエのアーチが見えた。 もちろん真夜中だから点灯していなくて、白いアーチの横の歩道を歩く。 「ルミナリエの時期か…」 蛍がポツリと言った。 「見たことある?」 問い掛けられて、首を横に振る。 「点灯してる時間に、なかなか帰れなくて…」 「そうか…。週末もやってるから、今度彼氏と行ってみたらいいよ」 そう言われて、私は愛想笑い。 ゆっくりと並んで歩く。 「…喧嘩でもしたの?」 あれは喧嘩なのだろうか… あれが喧嘩なら喧嘩別れになる。 「彼ね、バツイチなの」 蛍が目を丸くする。 「震災で両親を失って天涯孤独だった女性と結婚して、だけど理由があって…別れを切り出されて別れたの。だけど、最近になって再会して…」 私の話に、蛍は何も言わずに耳を傾けてくれた。 「…彼女より私を選んで欲しいって言ったのに、聞いて貰えなかった…」 思い出して、また、胸が痛む。 「慶太なら…全部受け止めてくれると、思ってた…」 だけど、弘美ちゃんこそが、慶太の特別だった。 「思い上がってたのかもしれない」 「そんなことないだろ…」 蛍を見上げて、苦笑いして首を横に振る。 「蛍と別れて…もう恋なんて出来ないかもって思ってたの。だけど、慶太はそんなことお構い無しに、何度も何度も、私にノックしてくれた」 何とも思って居なかった人が、徐々に心に残る人になって、いつの間にか大好きな人に変わった。
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