第四十五章 運命

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返信はせずに、化粧室を出た。 慶太が待っていた。 「大丈夫か?」 少し遅かったからか、慶太が心配してくれた。 私は大丈夫だと頷く。 「パスタよりうどんの方がいいか?」 「違うよ、大丈夫」 笑って答えた。 会社近くのイタリアンのお店に入って、パスタランチをそれぞれオーダーする。 お互いにトマトソースを選んだ。 窓際の明るいカウンターの並び席。 すぐに前菜サラダが運ばれてきた。 「食いながら話そうか。俺も話があるねん」 慶太はそう言いながら、カトラリーケースからフォークを出して、私に渡してくれた。 「先に話聞くわ」 そう言われた。 固まってしまう。 「どうした?」 問い掛けられて、何かを話さなきゃと、焦る。 「あっ、今建設中の商業ゾーンと住まいゾーンを繋ぐ道路の着工具合なんだけど…あれって、予定通りなのかな?」 「予定通りやろ。遅れは聞いてへんで」 「そう…なら良かった」 そう言ってフォークで生ハムをさす。 「それがどないしたん?」 「いや…遅れたら困るから、慶太知ってるかなって思って」 「そんなん担当に聞いたらすぐわかるやん」 「そ、そうなんだけど…」 「まぁ確かに、向こうのチーフ、話しかけ辛い雰囲気やけどな」 何とか話を繋げられた。 「話ってそれか?」 そう聞かれて頷く。 「なんや、仕事のことやったんか」 彼を横目で見ると、少しホッとしたような表情を見せた。 少しの間、話さずに彼は黙々と食べて、お皿が空になると、こちらを見た。 「食わへんの?」 生ハムが刺さったまま、食べていない私に慶太が問い掛ける。 「食べるよ」 そう言って生ハムを口にした。 「美味しい」 そう感想を言うと、彼は優しく微笑んだ。 「食いながら、俺の話、聞いてくれる?」 「うん…」 お皿に目を落とす。
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