第四十五章 運命

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「今度こそ…弘美ちゃんの本心を見て、幸せにしてあげなよ」 慶太を見て、そう言って、口角を上げた。 慶太は、私を見て頷いた。 「ありがとう」 彼のお礼の言葉に微笑む。 「冷めんうちに食おう」 そうすすめられて、前菜サラダのお皿をずらして、パスタのお皿を前に持ってくる。 美味しそうに食べる慶太の表情が、愛しかった。 《響ちゃん、元気ですか?》 《私は何とか元気に頑張っています》 《仕事でそちらに行くことがあっても、なかなか響ちゃんには会えなくて…》 《会いたい気持ちと、会えなくてホッとする気持ちが混在しています》 《慶太のこと、響ちゃんの気持ちを無視して自分の気持ちを優先して突っ走りました。ごめんなさい》 《一世一代のワガママを通してしまいました。ごめんなさい》 《本当にごめんなさい》 《昨日、慶太とルミナリエに行きました》 《彼が大学生の時に、プロポーズしてくれた場所です》 《私が呼び出しました》 《響ちゃんと別れたと聞いて、二つの気持ちが渦巻きました》 《響ちゃんを傷つけてしまった後悔と慶太ともう一度やり直せるかもしれないと思う気持ち》 《また、自分の気持ちを優先してしまいました》 《一から慶太とやり直すことになりました》 《響ちゃんには、本当に酷いことをした自覚があります》 《私の顔なんて2度と見たくないと思うかもしれません》 《謝っても許して貰えないことだとわかっています》 《だけど…》 《どうしても、気持ちが止まりませんでした》 《慶太を失いたくなかった》 《こんなこと、LINEで知らせるのも不躾だとわかっています》 《だけど、どうしても、知らせるのが筋だと思いました》 《ごめんなさい》 《本当にごめんなさい》
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