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 今日も疲れた体を引きずり我が家へ帰る。  何もしたくない。  のんびりしたい。  バルムの設定を郊外のピクニックにする。  部屋中、花と草の香りが広がる。  野原に寝転がって広がる青い空を眺めていた。 「セイヤ、はいお茶だよ」 「ありがとう、リリィ」  いっしょに寝転がっていたリリィが気を効かせる。 「素敵なところね。私の好きなお花がいっぱい」  リリィがニコニコしながら花の匂いを嗅いでいる。 「好きな花って?」  リリィがうす紫の星のような花を指差す。 「名前は知らないけどなんだか好きなんだ。道端に咲いてたのをみたことがあるの」  誰かの記憶を反映しているのだろうか。それでもそんなリリィがかわいいと思える。 「ここにして良かったよ。また来ような、リリィ」 「うん!」  気がついたらいつのまにか寝てしまっていた。  もう朝だ。  野原もリリィもいない。  自動的に住人の様子を判断してバルムが切れるようになっている。  薄暗いバルムの部屋を出てカーテンを開ける。  朝日がまぶしい。  今日も気の重い仕事が待っている。
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