3人が本棚に入れています
本棚に追加
*
小さい頃雨の日はいつも部屋の中でひとりきりで遊んでいた。両親はいつも忙しいからと、何かと理由をつけては遊んでくれなかった。
家にいても、いないのと一緒だ。
ある雨の日ーー窓の外にある木から誰かが覗いていた。ぬれちゃうと思って、どうぞと部屋の中に招き入れる。
こわいとかそんな感情はまったくなくて。
その招き入れた日から、雨音はいつも傍にいてくれた。雨の日は。
不思議だったけど、いつも心はぽかぽかだった。
雨音は絵本を読み聞かせてくれたり。ときどき色んな神様の話もしてくれた。不思議で優しい、ちょっと笑える神様の日常を。
雨ばかり続いて、だんだんと部屋の中だけで過ごすのは退屈になる。もともと雨の日は好きじゃない。雨音はそんな気持ちにもすぐ気がついてくれた。
“雨がきらいなのか?”
最初のコメントを投稿しよう!