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「情報?」
「何だそれ?」
「それはねぇ」
まゆりがもったいぶって一拍開ける。
「織田信長が男色だったということよぉ」
「男色?」
「そう。信長は男が好きだったのぉ。ウフフ」
まゆりが笑みを深くして話を続ける。
「想像してみて。三年生になって、二人はそれぞれ今の部活の部長になるの。部活には雑用を頑張る一年男子がいて、よく働くなあと気にかけていたわ。そして、寒い寒いとある冬の日。部活が終わってみんなで帰ろうとするんだけど、雑用を頑張る一年男子が近付いて来て……。『部長! マフラーも手袋もないんですか? 風邪ひいちゃいますよ。良かったら僕のマフラーを使ってください』そう言って、ふわりと首に巻かれるマフラー。今まで使われていたそのマフラーは、ほのかに暖かくて、身体を芯から暖めるの……」
まゆりが喋り終わると、三人の空間だけが静かになった。
そして、その静寂を最初に破ったのはハルカだった。
「……胸キュンした! めっちゃ胸キュンした!」
「でしょ?」
「秀吉の草履とりは、まさかの少女漫画展開だったのね」
ハルカと千歳はうんうんと頷いて納得していた。
「なるほど。それなら、秀吉が出世したのも分かるわ。それ以降、信長は秀吉を気にしてついつい目で追っちゃって、仕事を誰に任そうか考えた時に、ふと秀吉を思い出して秀吉に任せてしまうのね」
「信長可愛い!」
三人がほっこりしてまとまったところで、教室にチャイムが鳴り響いた。
「あ、次の授業だ」
「席に戻らなきゃ」
ハルカとまゆりは各々の席に戻り、千歳は次の授業の準備を始めた。
end
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