東径

2/5
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
夜更け楽栄館の一室で先ほど酌をしていた痩せ細った女性のユウコはキムの相手を終えると疲れきった体で服を着ると調理場に向かった 洗い物をしていた着物を着た50過ぎの女将チヨは口から血を流し二の腕が赤くミミズ腫したユウコに向き直ると哀れそうに出迎えた 「ご苦労様ユウコ… 疲れてるとこ悪いんだけど それをアイツらに持っててくれないか?」 女将は懐から封筒をだすとユウコの手に渡した 「いいかい見つからないようにね」 と辺りを注意しながら小声で念をおした 裏口から深夜の焼け跡だらけの東径をユウコは 慎重に進み工事近くの日の国の労働者用のほったて小屋の戸を叩いた
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!