5

2/3
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
鳴神先生と神崎さん、そして僕は、ぬくもり欠乏症候群の起こる原因、そして治療法を探して、来る日も来る日も研究を続けた。 僕は血液やその他、何か手がかりが得られそうな細胞など、提供出来るものは全て提供し、色々な身体能力などのテストも受けた。 だけど、一向に手がかりすら見つからず、研究は進まぬままに、ただ月日だけが流れていった。 そして、僕と神崎さんとの付き合いも長くなり、僕らは一緒に暮らすようになっていた。 その日、僕は連日の身体能力テストで疲れきっていたので、家で『ハム子』とのんびりと過ごしていた。 神崎さんは相変わらず研究に没頭していて、家にいない日も多く、この日も朝から鳴神先生の元へ行っていた。 僕はせめて、頑張る神崎さんに美味しい物でも食べてもらおうと、料理をすべくキッチンに立った。そして、冷蔵庫を開けて、食材を吟味していると、ふと『ハム子』の元気がない事に気がついた。 「『ハム子』どうしたー?」 『ハム子』を手に乗せてみると、ぐったりとしていて、目も開けない。それどころか、いつもは温かな体が、温かさを失いつつあった。 最近処方されたばかりだから油断していた。 このまま『ハム子』が亡くなったら、僕は発作を起こし『ハム子』と共に……。 『ハム子』を胸に抱いて、『ハム子』の体を温めつつ、僕は神崎さんに電話を掛けた。 だけど、何度呼び出しても、神崎さんは出なかった。 その内に、胸に抱いた『ハム子』は熱を失い、しばらくして、僕は呼吸が苦しくなり、体温の低下で体も動かせなくなり、その場に倒れた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!