6

2/3
前へ
/17ページ
次へ
結婚した僕の体に、ある異変が起きた。 ぬくもりがなくても大丈夫な時間が、5分から少しずつ伸びて行ったのだ。なんでそうなったのか、全く解明出来なかったけど、その時間は順調に伸ばされていった。 1時間、2時間、3時間……… 最終的には約1日、『ハム子』と離れても大丈夫な体になった。 だけど、そんな嬉しい奇跡もそこまでで。1日『ハム子』無しで過ごせるようになった頃には、僕はすっかりおじいちゃんになっていた。 もし、この奇跡が神崎さんの僕への愛情と、僕の神崎さんへの愛情が起こしたものなら、研究なんかとっとと放り投げて、お互いの気持ちを確かめ合っていれば、もっと早く奇跡は起きていたのかもしれない。 それは今だから言えることだけれど。 僕らは随分と遠回りをし過ぎたらしい…。 それでも、神崎さんと結婚してからの時間は、とてもとても満たされていて、僕らには子供もいなかったけど、『ハム子』と3人で、温かなぬくもりを感じながら過ごすことが出来た。 僕には勿体ないくらいの幸せ。 何にも代えられないぬくもりだった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加