2人が本棚に入れています
本棚に追加
結婚した僕の体に、ある異変が起きた。
ぬくもりがなくても大丈夫な時間が、5分から少しずつ伸びて行ったのだ。なんでそうなったのか、全く解明出来なかったけど、その時間は順調に伸ばされていった。
1時間、2時間、3時間………
最終的には約1日、『ハム子』と離れても大丈夫な体になった。
だけど、そんな嬉しい奇跡もそこまでで。1日『ハム子』無しで過ごせるようになった頃には、僕はすっかりおじいちゃんになっていた。
もし、この奇跡が神崎さんの僕への愛情と、僕の神崎さんへの愛情が起こしたものなら、研究なんかとっとと放り投げて、お互いの気持ちを確かめ合っていれば、もっと早く奇跡は起きていたのかもしれない。
それは今だから言えることだけれど。
僕らは随分と遠回りをし過ぎたらしい…。
それでも、神崎さんと結婚してからの時間は、とてもとても満たされていて、僕らには子供もいなかったけど、『ハム子』と3人で、温かなぬくもりを感じながら過ごすことが出来た。
僕には勿体ないくらいの幸せ。
何にも代えられないぬくもりだった。
最初のコメントを投稿しよう!