3

2/4
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
『ハム子』は、ぬくもり欠乏症候群の患者はもちろん、予備軍の人にも必要不可欠な、薬のような存在なので、処方という形で渡された。 もちろん薬なので、診断書と『ハム子』が処方されたハムスターだと証明する物があれば、どんな場所でも帯同は許可された。 だから僕は、学校に許可を貰い、常に『ハム子』専用のポーチに『ハム子』を入れて、首から下げていた。それだけで、僕は人に触れて貰わなくても、普通に生活出来た。 だけど、小学校の時 女子達は僕に、定期的に触れてきた。 「神代(かみしろ)くん、ぬくもりあげる」 そう言って、休み時間になると、次々に僕に握手してくる女子達。 それを見て、面白くなさそうにする男子達。 そして、僕はある日、男子達に『ハム子』を取り上げられてしまった。 「ハムスターなんか、学校に連れてきちゃいけないんだぞ!お前、本当は病気なんて嘘ついてんだろ!そう言って、女子の気を引いてるんだろ!」 「そんなことはない!それを返して!」 『ハム子』がいなければ、僕は5分すると発作が起きてしまう。 5分なんてあっという間で、ほら、もう、胸が苦しく、息が出来なくなって来た。 寒い…… 体温が急激に下がって寒い…。 そして僕は、胸を押さえて、床に倒れた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!