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こういうのはリアリティがあるほど面白い。もしかしたら本当かも、という妄想が僕を一番ワクワクさせる。
だから止められない。
徐々に視線を下げていく。彼女は僕の方を見たままだ。勘付かれないように、スマホの画面まで目を落とした。
ひょっとして僕を見ているのか、それとも後ろの電車が気になるのか。僕も渋谷に来たばかりの頃は、この青ガエルと呼ばれる緑の電車が目に付いたものだ。どうして駅前に展示されているのか、不思議でならなかった。
あ……そうか。
僕は再び、冷たい親指を忙しなく動かした。
捜査本部からの連絡。その一報にジェニファーの内心は穏やかでなくなっていた。仕掛けられていた爆弾の場所が判明したのだ。
そこは、渋谷駅前に展示されている青ガエルの車内。
人通りの多い駅前で爆破テロが起きれば、どれだけの被害が出るのか分からない。しかし捜査官が不自然な動きを起こせば、遠巻きから監視しているテロリスト連中も黙ってはいないだろう。下手に刺激すれば、すぐさま起爆させてしまう。
この局面でジェニファーに与えられた役割は二つ。まず捜査官だとバレないこと。そして青ガエルに近づき、爆発物を撤去することだ。
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