なっとうごはん

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日直とみんなは、手をあわせおわると、 さっそくゴハンを食べ始めた。 ミカンも、なっとうに手をのばす。 「ぐへへへへ・・・。やっぱりなっとうは最高・・。」 匂いをすうだけでこんなに幸せな人なんて、 この世にいるだろうか。いや、きっといる。 大好きなものの為なら・・・。 ミカンは、なっとうのフタをあけ、タレをなっとうにたらし、混ぜる。 「たくさん混ぜた方がいいんだよね。」 なっとうの達人は、いっぱい混ぜる。 「よし、このくらいかな。」 ミカンは、ゴハンの上になっとうをのっけた。 このねばりが、嬉しくてたまらない。でも、ネギやオクラがないのが残念。 「いっただっきま~す。」 ミカンは、はしに手をそえると、 ガツガツ食べ始めた。 すごい勢いで、みんながポカーンとみている。 でも、このおいしさは誰にも止められない。 おかわりだって、絶対にするんだ。 「ん~♪おいっしぃ!!!」 ミカンは、声をあげる。そんなミカンを、 嫌っている隣の席の男子が、ミカンに向かって 口を開いた。 「・・おい、汚ねぇぞ・・・そんな意地汚い奴、女子の中ではじめて見た。しかも、なっとうでそんな喜ぶなんて。マジで女捨ててる。」 「・・・え・・・。」 その瞬間、ミカンははしをナプキンに落とした。 そんなことを言われたのは初めて。 意地汚い??大好きなものなのに、 嫌いなふりをしなくちゃいけないってこと?? なっとうがスキな女の子なんて、このクラスに いなくても他にはいるはずなのに。 なっとう食べちゃいけないとか、そういうふうに決まってるの?? でも、そう言われたらもうさすがになっとうを食べることができない。 家では食べてもいい。でも、学校は食べちゃダメ。 そんなふうに、初めて自分できがついた。 確かに、ネバネバしたなっとうを意地汚く ウハウハ食べてたら、 ちょっと・・・引く。ていうか、キモイかも。 ミカンは、コクっと自分で自分にうなずくと、 なっとうはそのまま食べずに、他のおかずを 食べた。 ・・・本当は、なっとうが今すごく食べたい気分なのに。 今日、初めてなっとうと私の絆が敗れたようだった・・・。
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