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待ち合わせ
暖かい春のある日。
待ち合わせの公園に行くと、君がベンチに座っていた。
おういと声をかけようとして、僕は言葉を飲み込んだ。
こくこくと舟をこぐ頭。
陽だまりのぬくもりに包まれて、君はうたた寝をしていた。
その姿があまりに可愛くて、僕はそうっと君に近づく。
君のすぐ隣に腰掛けて、君の寝顔をじっと見た。
いつもは勝ち気な君のなんて無防備な姿。
半開きの口元には細やかな涎まで
やがて頭がかくんと落ちて、君はようやく目を覚ます。
「おはよう、お嬢さん」
僕が声をかけると、君は驚いて振り返った。
その顔が、あっという間に真っ赤になった。
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