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 翌日、わたしは×××には行かなかった。当然だ。  嫌な気分をふっ飛ばすために、会社帰りに同僚を飲みに誘った。  ほろ酔い気分で帰りの電車に揺られながらスマホを取り出すと、着信履歴がすごいことになっていた。みんな同じ番号からだ。  うんざりしてスマホをバッグにしまった。付き合っているときもこういうことをするやつだった。  日付が変わった頃、メールが来た。 『なんでこなかったんだよ! 待たせやがってふざけんな! 明日も待ってるからな、絶対来い! 逃げるなよ!!』  辰夫からだった。わたしは呆れた。  ――だから行かないって言ったでしょ。バカじゃないの――。  そう返信しかけて、バカらしくなってやめた。  再びイライラしてしまい、その夜はなかなか寝付けなかった。  その後辰夫から連絡が来ることはなく、なんだったんだろうと思いながらも、一週間も経つとそんなこともすっかり忘れてしまった。
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