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◇
それからひと月ほど経ち、友人の麻子と会う機会があった。麻子は大学時代からの親友で、社会人になった今も時間を見つけては会っていた。
いつものようにお互いの近況報告などをし合い、麻子が最近飼い始めた猫の話をするのを聞いているうちに、ふと辰夫のことを思い出した。
「そういえば、こんなことがあってさ」と、わたしは辰夫から来た電話の話をした。
麻子はわたしと辰夫のこともよく知っている。別れたときは、彼女の方が辰夫に憤慨していたくらいだった。
「――それで、夜中にメールが来てさ。『なんでこなかったんだー!』って。ホント何だったんだろ、ふざけてるよね」
すると麻子は、驚いたような複雑な表情をした。そして、「育美、知ってると思ってたわ」と言った。
「なにを? どうしたの?」
「あのね……辰夫くん、亡くなったんだって」
「え?」
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