第一章 ウインナー珈琲

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年の瀬も押し迫った12月23日の午後5時頃、四条河原町にある、とある珈琲店に友人と入った。 そこは地下一階にあった。 細い階段を下りX'masの飾りをかけてある木製の重厚な引き戸を引いた。 カランコロンと来客を告げるチャイムが静かな店内に響き渡った。 一歩踏み入れりると香ばしいひきたての豆の香りがした。 カウンターの奥にいた赤いサンタの帽子をかぶった女性が、にこやかにこちらを振り向き「いらっしゃいませ」と言って軽く会釈をした。 15坪ほどの狭い空間に先客が7~8人ほどいたが、本のめくる音が聞こえるほどに静かな空気感だった。
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