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冬の日の夕方、人を沢山詰んだ電車に乗り込み、冷えた手を温めようとポケットに入れていた使い捨てカイロを揉んだ。
こうやってカイロを揉んでいると思い出す。高校時代、寒いというとすぐにカイロを持ってきてくれたあの先輩。いつも明るくて、仲間はずれにされがちだった私に優しくしてくれた先輩。彼のことを思い出すと、胸の奥と頬が熱くなった。
あの時と同じぬくもりを手で感じながら窓の外を見る。あの人は今何をしているのだろう。メールで訊けば良いのだろうけれど、用事もなくメールを送って良いのかどうかがわからなかった。
駅に着き電車を降りると、仲の良さそうな男の子と女の子とすれ違った。
ぼんやりと頭に浮かぶ。
「私はあの人が」
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