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手に触れる箱の中に1つだけ重さの違う物があった。靴にしては異様に重い。リデルはその箱を手に取り開けた。緩衝材の中に埋もれた黒光りするソレはリデルが今もっとも欲している物。
「マジで?」
リデルは信じられないと声を上げる。リデルはここでようやくハンドガンを手にした。手にしたと同時に弾数の確認をする。弾薬がフル装填されたハンドガン。これほど心強い武器はないだろう。しかも、触ったこともないはずの銃の扱いが手に取るように理解できている。これは奇跡だといっても過言ではないとリデルは思い、神に感謝した。
元来、銃は口径や系統や制作会社等で一癖も二癖もあり撃った時の反動も違う物だ。装填数も違えば、同一の口径でも使用する弾薬が異なる場合もある。口径の馬鹿でかい銃に至っては、体躯のいい男性でも発砲時の衝撃で肩の関節が逝ってしまう。当然、射撃にも訓練が必要だ。自分に合った銃を探すのも苦労する。
しかし、リデルの手にした【ハンドガン】は特別だった。制作会社のロゴも使用弾薬の制限も全くない【ハンドガン】だった。リデルには銃器の知識など皆無に等しく、銃に性質や種類があるなんてさっぱりと分からない。
そもそもオシャレとダイエットと彼氏の事だけを考えていたいスレンダーな10代の女の子に銃社会でもないのに興味を持てというほうが無茶だろう。そんなリデルが手に入れたのは、まさに御都合主義の集大成であるハンドガンだった。
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