【オープニング】

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 道路の真ん中であたりを警戒しながらハンドガンを構えて佇んでいるツインテールの少女がいた。夜の闇に彼女の視界は奪われ【敵】の姿を捕えられない。少女の背中にヒヤリと冷たい汗が水滴となって背中を濡らした。極度の緊張のせいか息遣いも荒くなっていく。  どれくらい、そこで武器を構えたままで居るのか、少女にはもう分からなくなっていた。終わりの見えない緊張に次ぐ緊張。もう少女の精神は限界だった。 「…居るんでしょ?」  少女は何処に向けるでもなく声を張り上げて問う。すると、問いかけに答えるようにズシャ…ツチャ…とアンバランスな足音を響かせて【敵】が姿を現した。 ≪アーァー…アァー≫  歩くたびに肺から空気の漏れる音を発しながら、ゆらゆらと揺れながら不安定な重心で近づいてくるソレは【ゾンビ】だ。腐臭を撒き散らしらがら、少女の肉を食もうとその手をゆっくりと上げる。 「またゾンビ!?もう!何匹倒せば終わるのよ!?」  少女は舌打ちしながら、銃口をゾンビの頭に向けて引き金を引いた。
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