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行動を起こし逃げ出すチャンスをうかがう。そして【敵の司令塔】を探してぶっ壊して家に帰るんだとリデルは強く決意する。リデルの思考は1つの目的を得た事で固まっていく。根拠のない確信はリデルの中で急速に成長し、自分の考えが問題を解決に導く最善手だと告げていた。
「アレック」
リデルはひきつった表情を浮かべながらアレックに声をかける。プログラムを起動出来るか試したのだ。声をかける瞬間、リデルは逃げ出したい衝動にかられた。人間のような生々しさのある精巧なロボットに対する嫌悪感は生理的に耐え難いものだったからだ。
「さぁ、行こう」
アレックはリデルの声を聴いて再び同じ動作を寸分違わず行った。どうやら起動は成功したようだ。リデルは次の行動を起こさなければいけない。リデルは恐る恐る差し出されたアレックの手を掴む。するとアレックは嬉しそうに微笑んだ。
「やぁ、君なら迷わず俺の手を取ってくれるって思ってたよ!」
ーー…迷ったし、気持ち悪いし。めっちゃ時間かけましたけど?
リデルは心の中で毒づきながら、ほんの少しだけ安堵していた。これで先に進めると。
「リデル、君はなんて勇敢なんだ!俺は本当にダメだと思った瞬間に颯爽と現れて、1撃であのゾンビを倒してしまうなんて、本当に君は俺のヒーローだ!」
「あは…あはは…」
アレックは事実とは異なるリデルの勇姿をとうとうと語っている。リデルは思わず乾いた笑いを漏らしていた。
ーーいやいやいや…乱射しちゃって、あんたの額にクリーンヒットさせたし!鬼気迫るような状況でもなかったし!
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