2章 【不審者】

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    リデルが脳内で激しく毒づいている間に、リデルには触れられなかった格子扉をアレックはいとも簡単に触れて見せた。ギーっと金属の耳障りな音を発しながら開く格子扉。 「やった…扉が開いた」 「ん?扉がどうかした?」  アレックは不思議そうに(たず)ねてきた。リデルは予想外の反応に戸惑った。プログラムにしては、あまりに自然にリデルに語り掛けてきたからだ。 「ああ、この先は安全だよ。そうだよね?急に警戒もせずに開けちゃったからビックリしちゃったよね?でも、大丈夫!この扉を出たところから教会までのエリアは神父様が聖水で清めた聖域なんだ!だから、化け物は入ってこれない。案外、心配性なんだね。そんな君も可愛いよ」  しかしアレックはケタケタと笑いながら続けて放ったセリフはプログラムで言わされただろう内容だった。先ほどの自然なタイミングはただの偶然だったようだ。セリフの内容もリデルはツッコミを入れたくなる。扉の向こうが安全だというのであれば最初からそこに逃げればよかったのではないか?また、聖水で清めたエリアってやけに広いんだな?とかあげたらきりがない。    そんな事よりも一瞬でもロボットじゃないかもしれないと思ってしまったリデルは自分が悲しかった。 ーーロボットってめんどくさい。
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