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中に入ると窓から燦燦と降り注ぐ陽の光と赤々と燃える蝋燭の灯がリデルの目を襲った。暗闇から出たばかりのリデルの目には眩しすぎる光だ。リデルは光の洗礼を受けながら脳裏にノイズが走るのを感じていた。一瞬の静寂、そして立っていられなくなるような不快感と眩暈。
「っざっけんな!さっきから大人しく聞いてりゃ同じ事ばっか言いやがって!!」
眩暈がおさまると同時に、男の怒声が聖堂に響く渡った。声の主は教壇のそばで聖職者らしい何かの胸倉を掴んでいた。
「俺はお前らのおもちゃじゃねーんだ!ここから早く出しやがれ!」
声を荒げ言う男の言葉にリデルは共感を覚えた。彼は人間なのだろうか?リデルは恐る恐る彼に近づいてみることにした。気取られないように近づいて彼が胸倉を掴み恫喝している聖職者らしき何かに視線を向けた。顔色を変えず一見すると人好きのしそうな不気味な微笑みをしている。この聖職者はロボットだとリデルは確信した。
「神の加護が、良き友人を導きたもう。悪魔の野望を打ち砕く使命をーー」
「うるせーよ!何十回そのセリフ言えば気が済むんだよ!?」
「神の加護が、良き友人をーー」
「っち、この異常者が!」
男の罵声をものともせずにセリフを繰り返し続ける聖職者。男は乱暴に聖職者を放り投げた。我慢の限界だったのだろう。
「無駄だと思うわよ?こいつらロボットだからプログラム通りにしか動かないもん」
リデルは男に歩み寄り声をかける。男は声を掛けられて初めてリデルの存在を認識したのか一瞬呆けたような表情を浮かべた。だが、すぐにその顔は険しくなりギロリとリデルをねめつけた。
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