3章 【不自然な生存者】

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 ディックはリデルの行動に戸惑っていた。急に自分の顔が好きだと言い出したかと思ったら、何かを探してせわしなく動き出した。この少女も【人間】ではないのかもしれないと疑念を抱き始めていた。行動に一貫性も整合性もなくチグハグとしている。 「おい!リデル、お前何してんだ?」  ディックはリデルに問う。もし【人間】でなければ返答は期待できないだろう。 「分かんないけど、なんか光ってるパーツを見つけたから集めてるの。この空間から出たいし、自分自身が訳わかんなくなってるから手を動かしたくて。あーさっきのは忘れて!気の迷いだから!」  リデルの返答にディックはホッと胸をなでおろす。まだ彼女とは会話が成立できているらしい。ディックはリデルの行動を観察してみることにした。するとどうだろう。彼女が何を見ているのかが何となく分かるではないか。  彼女の視線の先には、部屋の明かりではありえない輝きを見せる何かがある。彼女は言葉通りソレを集めている。この空間では常識では考えられない事が当たり前のように起こる。聖職者もリデルと共に現れた自分に似た男も教壇の横で微動だにせず虚空を見つめている。  ーーあの【儀式】は、やはり別の次元か何かに繋がる扉でも開けていたのか?  ディックは、自分がこの狂った空間で目覚める前の出来事を思い出していた。     
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