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リデルは不安な心を抑えて、ショッピングモールの中に誰かいないかあてもなく彷徨った。店舗の中を覗いては誰も発見できずに落胆するを繰り返した。店舗内に残された固定電話も床に落ちていた誰かのスマホも建物内に備え付けられている公衆電話も通話できるか試した。
けれど、無駄だった。全て壊れていた。耳障りな怪奇音を発するだけの物や音すらならない物。使い物になる物が1個もなかった。絶望に打ちひしがれるリデルを慰める人は誰もいない。
大きなショッピングモールの中の状態も異様だった。まだ閉店時間には早いというのに既にシャッターが下ろされ入れない店舗や、乱雑に積み上げられた商品や棚で中に入ることが出来なくされている店舗が多数あった。
何より不可解なのが、銃砲店が存在しないはずのこのショッピングモールの中で、ハンドガンの弾薬ケースが至る所に置いてある事だ。風景の中に溶け込むように、1番目を引くであろう場所でその存在を主張している。
リデルはハンドガンというものを映画やドラマの中で扱っているのを観る事はあっても、実物を見たり触ったことなど1度もない。
最初、ハンドガンの弾を見つけた時は、目立つ箱だなぁ、と気になって手にしただけだった。すると、脳裏に「弾丸をもっと集めないと!」と浮かんだ。
浮かんだというより、天啓を得たと言った方が正しいのかもしれない。明確な命令にもよく似た使命感。その「集めなくてはならない」という強迫観念に苛まれリデルは弾丸ケースを集めるために再び彷徨うこととなった。
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