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リデルは半ば自棄になりつつあった。人はいない。馬鹿みたいに制限され続ける行動範囲。至る所で閉じられた防災扉が外に出ることを阻み、移動手段であるエスカレーターやエレベーターの電源は落とされているのに対して、照明や館内ミュージックに電力は消費されている。意図的にそうなるように設定されてるとしか思えない。
陰気でウザったいBGM 。なぜ意味もなく葬送曲めいた陰鬱な曲を流し続けているのかリデルは理解に苦しんだ。
……エンドレスで物悲しげな歌声が響いている。普段なら、軽快でポップな音楽が流れているはずなのに、だ。
「これ、私に対してのレクイエムなの!?さっきまでノリノリで愉快な曲流してたじゃんよ!?責任者出てきなさいよ!!馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
リデルは天井にある監視カメラに向かって怒鳴り声をあげた。
「さっさと開けなさいよ!私は忙しいんだからね!誰だか知らないけど、あんたたちの暇つぶしやドッキリに付き合いたくないの!分かるでしょ!?」
リデルは肩でゼェゼェと息をしながら睨みつける。リデルは言い終えるとフフンと得意そうに鼻で笑い踵を返して閉じて開かない防災扉の方へと歩いていった。監視カメラの電源が入っておらず、誰にもその訴えが届いていないとも知らずに…。
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