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「おめ、学校辞めちまったのけ」
ある時、ばあちゃんは杖の柄に顎を乗せ、横柄な態度で聞いてきた。
どう返事しようか迷った。
停学食らって行きたくなくなって、そのままズルズルと……なんて情けなくて言えねぇし。
「別に辞めてねーよ。しばらくな、冬眠してんの、とーみん」
どうせ口煩く説教を食らうだろうと思い、俺は冗談めかしてあしらった。
しかし、「あ~あ~」と大仰に首を振ったばあちゃんから返ってきた答えは、意外なものだった。
「あんなとこ行かんでええ。行きたくなきゃ行かんでええ。行きたくねぇようにしちょるモンが悪い」
「……へ?」
俺は思わず、目が点になった。
学校に行かなくてもいいと言う大人を見たのは、初めてだったからだ。
ましてやばあちゃん世代なんか、「学校休むなんてとんでもねぇ」とか「先生は神様なんだぞ」とか「甘えるな」とか「最近の若いモンは」とか言ってきそうなもんなのに。
だけど、後に親父から聞いた話で──俺は、納得したんだ。
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