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ばあちゃんの何番目かの息子さんが、高校時代に同級生にいじめられてて学校を休みがちだったらしく。
その時ばあちゃんは「情けねぇ!」っつって耳引っ張るぐらいの勢いで、嫌がる息子さんを無理矢理学校に連れて行ったらしいんだけど。
その後、息子さんが真冬の川に飛び込んだとか。
息子さんを助けようとばあちゃんも川に飛び込んだとか。
二人とも川から這い上がって、命からがら助かったとか。
ばあちゃんがびしょ濡れの息子さんをひっぱたいた後に力の限り抱き締めて、「わかった、わかった、もうええ。もうええから、そこまですんならもう学校になんか行かんでええから」と泣き崩れたとか──。
二人とも顔も全身もびしょ濡れで、ガクガク震えながら「悔しいな」「冷てぇな」「苦しいな」って、声の限りに泣き叫んで。
以来、ばあちゃんは学校というものに不信感を募らせてたとか、いないとか──。
口伝えに聞いた話だから定かとは言えないが、俺にはその情景がハッキリ見えた気がした。
雪さえちらつきそうな寒さの中で、息子を必死で抱き締める母親の姿が。
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