銀太
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銀太

あたたかい。 奮発して買った羽毛布団のせいじゃない。 もっと優しいぬくもり。 「沙也加、雪が降ってきたよ」 不意に聞こえた艶やかな低音。 同時にベッドのスプリングが、ギシリと音をたてた。 ―――― 誰か……いる? おそるおそる瞼を上げた。 瞬間。心臓を素手で掴まれたような感覚に震えた。 男が私を見ている。至近距離で。 それもただの男じゃない。夢のように美しい男。 濡れたよう光る漆黒の瞳。サラサラの髪。 剥き出しの上半身には、肉食獣みたいにしなやかな筋肉が、その存在を主張している。 「だれ……ですか?」 半裸の知らない男に抱きしめられている。そんな異常事態にもかかわらず、私はその胸の中で安らぎさえ覚えている。 けれどその理由は、すぐに明らかになった。 「……分からない? 銀太ぎんただよ」