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なんでこんなことになったのかよくわからないけど、私はお姉さんを従えて玄関のドアを開けた。 家の中がちょっとヒヤンとしている。いつもはハハが先に帰ってるから、私が学校から帰ったら部屋の中は暖かい。 鼻の奥がツンとしたとき、後ろから 「おじゃまします」 というお姉さんの声が聞こえて、ひとりじゃないことにほっとした。 でも・・なんでオモチカエリしてんだ?チチもハハもいない家に、見ず知らずのお姉さんを連れて帰ってしまうなんて。ワルイヒトだったらどうすんだ? そんなことを考えながら、ケーキを冷蔵庫に入れて気がついた。 食べるものがない。 岩のりと味噌と梅干ししかない。 ハハ、私いるんですけど。なぜ冷蔵庫の掃除をして旅立つ? 冷凍庫にはアイス枕と保冷剤。 洗面所で手を洗ってうがいをする。 ふと前の鏡を見たら、知らない人が映ってて叫びそうになった。 「手を洗おうかと」 鏡に映る驚いた私の顔を見て、お姉さんは言い訳みたいに言った。 石鹸で手を洗ってゴロゴロうがいをする姿を見て、ワルイヒトではないかなと思っている。 祈っている。 そして私は閃いたのだい!     
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