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洗面所から戻ってきたお姉さんは、チチとハハと私が三人で写った写真を見つけて手に取った。
「ひとりっ子なんだ。私は妹がいる」
お姉さんは写真を見つめながら言った。もう酔ってないみたいだ。
オモチカエリして、家にまで上がってもらったけど、今夜私が一人のこと言っていいのか?危ないのか?もう言ってるけど。
まずは敵を知る、これ大事だ。ゲームでも、歴史でも。
「どちらのご出身ですか?」
お姉さんは、写真立てを元の場所に戻しながら
「ずっと北の方」
と遠い目をした。そんな様子はワルイヒトではなさそうだけど。
いやいや明るいうちからお酒飲んでたぞ。
「妹さんはおいくつなんですか?」
「私がうちを出たとき、あなたくらいだったかな」
「何歳でうちを出られたんですか?」
「18、高校卒業してすぐ」
お姉さんは下手な刑事みたいな私の質問に、スラスラと答える。酔ってるからか、イイヒトだからか。
「あなたは今、16歳くらい?」
ビンゴだ。
「・・・はい。どうしてわかるんですか?」
「この写真と全然変わってないから」
写真立ての写真は、高校入学の時のだ。デカデカと入学式と写り込んでいる。髪型も変わってない。
やるな、お姉さん。
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