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「うー、寒い。」
身震いしながらノソノソとベッドを出る。
寝間着のまま、石造りの螺旋階段を下った先には暖かいリビングが待っている、、、はずだった。
「イシュカ、暖炉に火入れといてってお願いしたよね?僕。」
返事はない。
ただでさえ低血圧で朝は機嫌が悪いのに。
はぁ、と軽くため息をつき、自分で火を着けようと暖炉の前まで行き指を空に出す。
が、薪がない。
まさかそんなことが、と既に動き出していた指先は、初等火球の呪文を途中まで書いていたが慌てて引っ込めた。
ボンっ!!
「マースター!!!!」
爆発音と共に同居人が木戸を壊す勢いで飛び込んできた。
「マスター!マスター起きちゃった!?ゴメンネ、ごめん、ごめんなさい!僕もちょっと寝坊しちゃって、急いで下りてきて火を着けようと思ったら薪がなくて、あれれ?そんなはずないのになーって思いながらどうしよどうしよって慌てて薪を割りに行ってたのー!!マスター起きちゃったー!うわーん!」
ちょこまかと上へ下へくるくる飛び回りながら一気に捲し立ててくる。
バタバタ動く度に僕の前髪が揺れる。
「風が冷たい。」
はっとしたイシュカがピタッと動きを止める。
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